高齢者の方は賃貸物件を借りられない？理由と借りる方法をご紹介

高齢者に対する不安

• 不安①
  家賃の支払い

  大家さんが高齢者の方の入居を断る理由のなかでも、とくに多いのは家賃の支払いに対する不安です。
  支払い能力が低い場合、家賃滞納のトラブルが起こる可能性が高いです。
  企業によって異なりますが、定年退職の年齢は60歳〜65歳が一般的です。
  定年退職後の収入は、就業中に比べ低くなる方がほとんどでしょう。
  とくに、収入が年金のみだと、家賃、生活費の出費は貯蓄から切りつめるケースが多いため、継続的に支払いできるのか不安視されることも。
  安定した収入がない方は、家賃の支払いが滞納なくできるのか、大家さんは不安になります。
  ただし、法律の関係上、大家さんは一度入居を許してしまうと、たとえ家賃の未払いがあった場合でも原則追い出すことができません。
  強制退去を実施するには、退去する方の次の住まいを探したり、福祉サービスへ協力要請の手続きをおこなったりする必要があります。
  先述のように、大家さんが負うリスクが大きくなるので、高齢者の入居を断るケースが多く発生します。
  さらに、入居時には健康だった方でも、加齢により突然体調を崩す可能性も考えられます。
  急に体調を崩すとなれば、家賃を受け取ることも、強制退去にすることもできず、大家さんの負担が大きくなってしまいます。

• 不安②
  保証人

  賃貸物件の保証人は入居者が家賃を支払えなくなった際、代わりに家賃の支払いをする重要な役割を担います。
  また、入居時のトラブルに関して、入居者の代わりに保証人が責任を負うこともあります。
  しかし、高齢者の方は保証人を立てられないことが多々あります。
  親族が他界している場合や子どもと疎遠になっている場合など、理由はさまざまです。
  友人や知人を保証人として立てることもできますが、信頼性の関係で親族であることを条件としている大家さんが多いこともあり、保証人がいないとなると、大家さんは入居を受け入れづらくなります。
  リスクを背負うより、他の入居者を見つけたほうが良いと考える大家さんが多いでしょう。

• 不安③
  物件の収益性低下

  2018年の東京都監察医務院が公表しているデータでは、3.888人の高齢者が自宅で亡くなっていることがわかりました。
  とくに単身の高齢者が家の中で倒れてしまった場合は、早期発見されず、そのまま亡くなることが多いです。
  また、孤独死から長時間経ち、室内に汚れやにおいが残ると建物が事故物件として扱われることもあります。
  事故物件になることで、入居希望者が減り、収益性が低下します。
  大家さんは、賃貸物件を運営して収入を得ているので、事故物件となると資産が減ってしまいます。
  そのほかにも、亡くなった入居者が住んでいた部屋の借家権は親族に移るため、相続した親族の合意がなければ賃貸借契約を解約することができず、次の入居者の募集ができません。
  もし、親族に相続を放棄された場合は、大家さんが原状回復費を負担することになります。
  それだけではなく、相続放棄後に室内に残置物があれば、処分する許可を得る必要があり、手間がかかります。
  このように、大家さんの背負うリスクが大きくなり、手間も増えるため、高齢者の入居に対してはどうしても消極的になってしまうのです。