- この記事のハイライト
- ●共有名義の不動産相続とは、複数の相続人が1つの不動産を持分割合に応じて相続することである
- ●単独でできることは「保存」「使用」「自分の持分のみの売却」である
- ●共有名義の不動産は「話し合い」「メガ共有」「費用負担」によるトラブルが起こりやすい
不動産を相続する際、複数の相続人で共有名義にするケースは少なくありません。
しかし共有名義にすると自分の持分でできることが少なく、共有者間でトラブルが起こる可能性があるため注意が必要です。
今回は相続で不動産を共有するとはどういうことか、単独持分でできることや起こりうるトラブルについて解説します。
和歌山市で不動産を相続する予定のある方は、ぜひ本記事をご参考にしてください。
\お気軽にご相談ください!/
相続の際に知っておきたい!不動産の共有名義とは
不動産の共有名義とは、1つの不動産を複数人で共有することです。
ここからは相続における不動産の共有名義とはどういうことか、解説します。
相続における不動産の共有名義とは
相続における不動産の共有名義とは、亡くなった方の不動産を複数の所有者で共有することです。
現金を相続した場合は均等に分けられますが、不動産の場合はなかなか簡単にはいきません。
「不動産は物理的に分けにくいので、所有権をみんなで分け合いましょう」という考え方が共有名義です。
それぞれの相続人が持つ所有権の割合のことを、持分割合といいます。
相続で共有名義の持分割合を決める際は、法定相続分に応じて決めるケースが多いです。
法定相続分とは民法で定められた財産を配分する割合で、相続人の順位に応じて配分される割合が異なります。
たとえばAさんの持っていた不動産をAさんの妻と子ども2人で共有名義にするケースを考えてみましょう。
法定相続分に基づく場合、妻の持分割合は50%、子どもの持分割合はそれぞれ25%ずつとなります。
共有名義にする際の注意点
遺産分割協議がまとまらないと、「共有名義で良いのでは」と考えてしまいがちです。
しかし共有名義にすることは多くのリスクを伴うため、慎重な判断が必要になります。
まず共有名義の不動産を売却したいときや賃貸借契約を結びたいときは、共有者全員の合意を得なければなりません。
共有者が多いほど、全員の合意を得るのに大変な労力を費やすことになるでしょう。
今は「家族関係は良好だから大丈夫」と思っていても、時間が経つと疎遠になる可能性もあります。
連絡がとれない共有者がいると、合意を得ることはさらに困難を極めます。
将来共有者が亡くなりその子どもに相続されれば、共有者はさらに増えてしまい管理しきれません。
固定資産税や維持管理費の支払いについても、注意点があります。
共有名義の不動産にかかる費用は、代表者が支払った後持分割合に応じて精算するのが基本です。
きちんと支払いルールを決めておかなければ、費用滞納などトラブルになる可能性があるため注意しましょう。
この記事も読まれています|相続した不動産を売却したい!相続から売却までの流れと遺産分割協議を解説
\お気軽にご相談ください!/
共有名義の不動産の相続において単独持分でできること
共有名義で不動産相続した場合、単独の持分でできることは少ないです。
ここからは共有名義の不動産に対して、単独でできること・できないことを解説します。
単独でできること
共有名義の不動産に対して単独でできることは、「保存」「使用」「自分の持分のみの売却」の3つです。
「保存」とは、現状維持を目的として手入れや修繕を意味します。
たとえば雨漏りの修理や塀の補強などは、現状維持を目的としているので保存行為です。
また、保存行為には不法占拠者に対する明け渡し請求も含まれます。
不法占拠者をそのまま放っておくことは共有者全員の利益に反するためです。
「使用」とは、不動産に住んだり使ったりする行為のことです。
共有者全員はほかの共有者の同意を得ずに、単独で不動産を使用できます。
「自分の持分のみの売却」も、ほかの共有者の同意を得なくても単独でできます。
しかし共有名義の不動産の持分売却は、管理・処分がしづらいため買い手が付きづらいのが実情です。
売却できたとしても、相場よりも低くなってしまう点に注意しましょう。
単独でできないこと
共有名義の不動産に対する「管理」や「変更」は、単独ではできません。
「管理」をおこなう場合は、過半数の合意を得る必要があります。
短期間の賃貸借契約や、リフォーム・リノベーションなどが管理行為の代表例です。
ここでいう過半数とは人数ではなく、持分割合の過半数という意味です。
たとえばA、B、Cの3人が不動産を共有しているケースで考えてみましょう。
Aが3分の2、Bが6分の1、Cが6分の1の持分割合だとすると、過半数の同意を得るためにはAの同意が必須です。
たとえB、Cの2人が同意してもAが反対する場合は、管理行為をおこなうことができません。
「変更・処分」をおこなう場合は、共有者全員の同意が必要です。
共有名義の不動産全体に対する変更行為や処分行為のことで、売却や建物の解体などが該当します。
だれか1人でも反対すれば、変更・処分行為をおこなうことは不可能です。
そのため変更・処分行為をおこなうためには、共有者全員と協議して同意を得る必要があります。
また、長期間の賃貸借契約も共有者全員の同意を得なければなりません。
この記事も読まれています|相続した不動産を売却したい!相続から売却までの流れと遺産分割協議を解説
\お気軽にご相談ください!/
共有名義の不動産の相続で起こりうるトラブル
共有名義の不動産は、単独名義の不動産を比べてトラブルが起きやすいです。
ここからは共有名義の不動産を相続したときに起こりうるトラブルをご紹介します。
話し合いによるトラブル
先ほどご説明したとおり、共有名義の不動産は共有者の同意を得なければできないことが多いです。
自分が売却や賃貸をしたいと考えても、ほかの共有者と意見が対立してトラブルになることがあります。
必要な同意が得られないと、不動産を活用することができません。
結局何もできないまま不動産が放置されるという事態を招いてしまいます。
メガ共有によるトラブル
相続したときは頻繁に連絡と取りあっていても、時間が経つと音信不通になるリスクがあります。
知らない間に共有者が亡くなり子どもに相続していると、共有者は増える一方です。
このように何代にもわたる相続が登記されないまま、共有者が百人単位に増えてしまう状態を「メガ共有」といいます。
メガ共有になると共有者全員を把握することが困難になり、不動産を管理・処分できなくなります。
費用負担によるトラブル
先にご説明したとおり、共有名義の不動産にかかる費用は共有者間で出し合います。
不動産を所有していると発生するのは、固定資産税や修繕費用などです。
だれか1人が立て替えている場合、ほかの共有者が支払わないとトラブルになります。
だれも費用を支払わず、不動産の維持が困難になるケースもあります。
だれがどのように費用を負担するのか、事前にしっかりと話し合うことが必要です。
共有名義のトラブルを未然に防ぐ対策
共有名義のトラブルを防ぐためには、生前から対策を取っておくことが大切です。
不動産を複数の相続人に相続する予定の方は、不動産を売却して現金化する方法があります。
現金であれば均等に分けることが容易なので、相続人間でトラブルになる心配が少ないです。
すでに不動産を共有していて持分を相続する予定の方は、共有状態を解消しておきましょう。
話し合いでまとまらない場合は、裁判所を通じておこなう共有物分割請求訴訟という方法もあります。
この記事も読まれています|相続した不動産を売却したい!相続から売却までの流れと遺産分割協議を解説
まとめ
共有名義の不動産を相続しても、単独でできることは少なく管理処分がしづらいのでおすすめしません。
これから相続する予定の方は不動産売却によって現金化しておくと、相続人間のトラブルを未然に防止できるでしょう。
私たち「和歌山市不動産売却センター」は、和歌山市で不動産仲介・買取をおこなっています。
不動産を相続する予定のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。