- この記事のハイライト
- ●不動産売却に関連して、贈与税が課せられるケースがある
- ●親族間や法人間など利害を共有した相手との低額取引や、高額の財産分与に注意
- ●110万円の基礎控除や各種の特例を利用して、贈与税を軽減する方法もある
不動産売却に関連して、贈与の意図はないのに贈与税が課税されるケースがあります。
その課税は、事前に知識を持っていて対策をすることで、避けられる場合がほとんどです。
そこで今回は、不動産売却時に贈与税がかかるケースはどのような場合か、軽減する方法についても解説します。
和歌山市で不動産売却や買取依頼を検討中の方は、今回の記事をご参考にしてください!
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不動産売却時に発生する贈与税とは?
売却時に発生してしまう贈与税とは、どのようなケースがあり得るのでしょうか?
贈与税とはどのようなもの?
まず贈与税とは、財産を無償でほかの方に提供する際に、贈与した財産の価値に応じて、贈与を受けた方が税金を納める必要が生じることです。
贈与税が発生する際のポイントは、親族間や法人間などで相続税を軽減するなどの目的で安く取引した結果、贈与とみなされることです。
本来は譲受された不動産などの対価を適正な価格でやり取りし、相応の贈与税を支払うのが本当ですが、この贈与税がかなりの高率で、注意が必要なのです。
まずは一般的な贈与や相続の税制のシステムをおさらいしましょう。
暦年課税か相続時精算課税を選択する
相続税の支払いでは、暦年課税と相続時精算課税の2つの方法からどちらを選択することになります。
まず暦年課税とは、1年間で贈与した額の総額が110万円の基礎控除枠を超えた分の評価額にしたがって、贈与税が課される方式です。
暦年課税は評価額に比例する累進課税となっています。
たとえば評価額300万円超400万円以下では税率20%・控除額25万円、600万円超1,000万円以下では、税率40%・控除額125万円です。
一方相続時精算課税とは、親子間など直系尊属であるなどの一定の要件を満たした場合に、選択可能です。
こちらを選択すると、それ以降2,500万円までが非課税で、2,500万円を超えた部分について一律20%の税率で贈与税がかかります。
そして非課税となった2,500万円までの部分は、相続となってから相続税の計算時に、相続財産に合算され課税されます。
一般の税率と特例の税率
このほか、課税の原則として贈与を受ける対象者の要件から特例税率が適用されます。
暦年課税の際にも適用される一般的な税率に対し、両親や祖父母から20歳以上の子や孫に贈与する特例税率の場合、税率が優遇されます。
たとえば300万円超400万円以下で、一般税率の場合税率20%・控除額25万円であるものが、税率15%で控除額10万円となります。
また、600万円超1,000万円以下では、一般税率40%・控除額125万円が、税率30%で控除額65万円となります。
この特例税率を適用すると、30歳の子が父親から600万円の贈与を受けたケースでは、(600万円-110万円-30万円)×20%で、納税額は92万円となります。
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不動産売却時に贈与税がかかるケースとは?
不動産の売却時では、どのようなケースで贈与税がかかってしまうのでしょうか?
親族間の取引
親子など親族の間で不動産の取引をする場合、それだけで贈与税がかかることはないのですが、贈与税逃れとみなされた場合に贈与税が課税されます。
本来売買取引では贈与税はかからないため、相場では3,000万円の価値のある物件を、親から子へ100万円で売却したとします。
不動産は本来売主の言い値に対して買い手が同意すれば、相場は関係なく取引自体は成立するものですが、この場合は取引後において事情が違います。
3,000万円と100万円の差額である2,900万円に対して、贈与税が課せられるのです。
親族など相続や贈与が考えられる特別な関係において、このような取引に関しては税務署もチェックをおこなっているため、注意が必要です。
法人間や、法人代表者と法人の取引
法人取引における関連会社間、または法人とその代表者間での不適切なレベルでの低額の取引も、贈与税の対象です。
このケースでも、実際の相場との差額に課税されるようになります。
なお、法人の場合は、贈与税ではなく法人税が課税されます。
離婚にともなう財産分与の際の注意
元配偶者間も、偽装離婚で財産分与のかたちで資産の移動をしたと見られれば、相場との差額で贈与税課税の対象です。
あるいは偽装離婚の意図ではなくとも、財産分与として多すぎる場合も対象となりますが、両者には課税対処に違いがあります。
- 贈与税や相続税を免れるための離婚と認められる場合、分与の全額に課税
- 分与された財産の額が夫婦の資産や財産分与の事情を考慮しても多すぎる場合、多いとみなされる部分に課税
という形で、課税対象が分けられています。
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不動産売却時に贈与税を軽減する方法
正しい申告をおこないながら、贈与税の課税対象とみなされない方法を理解しておきましょう。
適正価格での売買をおこなう
親族間、配偶者間や元配偶者間、系列法人間や法人と代表者間など、節税において利害関係がある関係の取引にいずれも共通している点はシンプルです。
所得税や贈与税を逃れるために相場よりも安い価格で売買する「低額譲渡」とみなされることが問題となっていることになります。
税務署は、取引状況を登記簿謄本や確定申告でチェックし、申告がない場合税務調査が入ることもありますので、適正な取引と申告を意識しましょう。
毎年110万円づつの控除枠を利用する
基礎控除枠である毎年110万円の枠をうまく利用し、5年や10年のスパンで贈与をおこなっていく方法があります。
不動産の場合はたとえば1,000万円の物件を共有持分として毎年100万円分ほどの贈与を進め、10年目に1,000万円の売買契約を結ぶという方法が考えられます。
ただし、毎年まったく同額の贈与を繰り返すと税務署に計画性のある「定額贈与」とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。
そこで、毎回個別の贈与契約書を作成する、毎回の贈与額を同額ではなく変更する、毎回の贈与時期を変えるようにするなどをおこないます。
相続時精算課税制度を利用する
相続時精算課税制度を選択することでいったん2,500万円まで非課税となったうえ、贈与税を安く抑えることができる場合があります。
非課税となった部分は前述のように、相続となった際に相続財産として計算されることになります。
相続財産が相続税の基礎控除額である「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えないか、大きくは超えない場合は、結果として節税となります。
つまり同じ状況で暦年課税を適用すると贈与税が発生するところを、相続時精算課税制度の場合は課税されないというケースがあるのです。
また、相続時精算課税は、贈与した資産の価値を、その時点で確定するため、それ以降に物件が値上がりした場合は、結果として節税となることもあります。
このほかに贈与税には配偶者特例や、住宅取得等資金の特例なども設けられていますので、積極的に活用しましょう。
特例などの税金に関する諸制度は、年度によって適用が異なったり改廃がおこなわれる場合があるので、つねに最新の情報を確認するようにしてください。
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まとめ
不動産売却時に贈与税がかかるケースはどのような場合か、軽減する方法についても解説しました。
贈与税と言うと高税率のイメージがありますが、さまざまな特例や、相続を見越した積極的な利用も可能です。
和歌山市周辺エリアのお客様の事情に合わせての不動産売却や税対策は、和歌山市不動産売却センターへお気軽にご相談ください。