抵当権と根抵当権について(3)
根抵当権の存在する理由
さて、根抵当権は借入がなくなったにも関わらず存在するのですから、
債務者にとっては非常に厄介なものに思えます。
ただ、果たしてそう言いきれるでしょうか。
先ほど挙げさせていただいた抵当権と根抵当権の違いの例についてですが、
根抵当権のお金の貸し借りの時には突然会社が主役となりました。
つまりは、会社として銀行から融資を受ける場合には、
根抵当権が大活躍してくれる可能性があるのです。
根抵当権のご説明の際に「極度額を決めた抵当権」と申し上げましたが、
根抵当権はまさに「ここまでの金額なら貸してもいいですよ」という極度額を決め、
その担保として不動産などを差し出すものであり、しかも普通の抵当権と違って、
借入を完済しても根抵当権は抹消されずに残りますから
再度融資を受けることが可能になるのです。
もちろん、普通の抵当権でも「家を建て直したいから再度融資を受けたい」と言えば、
場合によって融資を受けることは可能です。
ただ、再度登記費用や手続きが必要になるわけですから、
もしこの流れが個人宅の不動産ではなくビジネスにかかわる話であった場合に、非
常に煩わしく、費用も無駄になってしまいます。
その為、根抵当権というものを設定しておけば、登記設定だの抹消だのということを気にせずに、
銀行との融資相談がスムーズになるということになります。
根抵当権は自然と消滅するものではありませんので、
事業とは違う不動産を扱う際には十分注意が必要です。
根抵当権を抹消するには、双方での話し合いや、
当然債務を無くしていることが前提となりますし、
もし根抵当権者と連絡が取れなくなった場合は、
訴訟を起こして裁判所の判断にて抹消してもらう必要も出てきます。
とはいえ、個人の住宅ローンや、
事業計画を立てて不動産経営をメインにして事業の拡大を狙うということでもない限りは、
ほとんどの場合に普通の抵当権が設定されます。